ハワイ旅行

年末年始は家族でハワイに旅行。海外で正月を迎えるのは初めての経験だった。暑いところだと日本とは全く違う感じの年越しになる。

ハワイ州は日本人観光客誘致に力を入れている。特にワイキキ周辺では態勢が整っており、店も日本語が通じるところが多い。便利ではあるがちょっとおもしろくない。巷の表示にも日本語併記が多い。シンガポールに行くと多くの表示が英語・中国語・マレー語・タミール語の4ヶ国語併記で書かれているが、ワイキキでは日本語が併記の対象になっている感じである。しかし表現のチェックを日本人がきちんと行うとは限らないようで、変な表現も見かける。

アラモアナショッピングセンターに行くと、床に

CAUTION
WET FLOOR

というコーンが立っていて、この英語表記の下に

警戒
濡れた床

とあった。間違いではないがちょっと変である。帰りにホノルル空港で見た同種のコーンでは

御注意
濡れた床が滑ります。

となっていた。「床」が「滑ります」はやっぱり変である。じゃあ日本ではどう書くのか。改めて考えると難しい。

注意
床が濡れています

ぐらいか。

往復の飛行機はオムニエアー・インターナショナルという航空会社のチャーター便だった。この会社のフライトについてはいろんなブログでよくない評判を読んでいたが、他に空いていないので仕方なく乗ることにしたのだった。これから利用する人への情報として、状況を書いておくことにする。

  • もともと貨物輸送の会社らしく、その飛行機を旅客用に改造しているからか、椅子の幅が少し狭めに思えた。しかし前の座席との間隔は普通。よほど太い人でなければ特に不自由はないと思われる。
  • 帰りのフライトで席についたら、私の席にはシートベルトがなかった。乗務員に言うと取りつけてくれたが、こんなことは初めてである。点検していないのだろうか。
  • 日本人の乗務員が2〜3人いて、あとはアメリカ人(だと思う。みんな普通のアメリカ英語に聞こえた)。客はほぼ全員日本人なのに、アメリカ人乗務員は日本人向けの対応を全く勉強していない様子。全く英語のみだし、ゆっくりしゃべってくれることもない。私が飲み物にgreen tea(日本茶)を頼んだら「砂糖は入れるか」と聞かれた。隣の人が「コーヒー」と(日本語の発音で)言ったら、coffeeのことだとは全くわからない様子だった。「ミルク」と言ったらビールだと思ったようだった(余談だが、日本人が「ミルク」と言うと英語ネイティブの人にはbeerに聞こえるようである。私も何回か経験がある。苦労して英語風にmilkと言っているつもりなのに。飲み物にミルクを頼む人があまりいないせいもあると思うが)。
  • 機内食はおいしくない。しかしアメリカの航空会社ならこんなものだろう。ユナイテッド航空と同じくらいの感じ。夕食は定番の"Beef or chicken?"だった。
  • 機内はちょっと寒かったが、これも飛行機の中というのはこんなものだと思う。日本側が真冬だったこともあってあまり気にならず。
  • 航空会社の責任ではないと思うが、帰りのフライトではトイレットペーパー以外の紙(手を拭く紙など)をトイレに流す人がなぜか多かったらしく、「ただいまほとんどのトイレが詰まっております。化粧室の御利用はなるべく御遠慮ください」とアナウンスがあった。
  • ヘッドホンで音楽を聴いたり映画を観たりするシステム(スクリーンは座席ごとではなくエリアごとに前の壁)は一応あったが、全然整っていない。
    • 音楽は2〜3チャンネル流れていたが、プログラムガイドがないから何が流れるのか全然わからない。
    • 行きのフライトでは私の席でヘッドホンから音が出なかった。以前のエントリで書いた「チャーリーとチョコレート工場」を吹き替えでやっていて、長女は喜んで観ていたが、私は観られず(聴けず)。
    • 帰りのフライトでの1本目の映画はなぜか日本語吹き替えのチャンネルなし。と思ったら乗務員が「日本語の音声は出ているか」と私に聞きに来た(その前にシートベルトの件で英語でクレームをつけていたので、英語のしゃべれるやつだと思われたらしい)。どうやら間違って別の映画を上映していたらしく、すぐに差し替えられた。しかし音声が途切れ途切れで台詞がよく聞き取れない。他の人も同じ状況のようなのでまたクレームをつけると、いろいろ調べていたが結局直らず。そのままみんなガマンして観ていた。私は映画を観るのをあきらめた。

こう書くとひどいフライトだったようだが、他にとれなかったからしょうがないという覚悟の上で乗ればどうということはない。今後は家族旅行には可能な限りJALANAを利用するとは思うが。

欧米(少なくともイギリスとアメリカ)の従業員というのは、システムのトラブルで客に迷惑をかけても謝らない。帰りのフライトでの映画の音声の件でも「地上に降りたら直すが、今はどうしようもない」と言うだけ。今回だけでなく、これまでホテルのコンピュータのトラブルなども何回か経験したが、I'm sorryという言葉を聞いたことがない。「システムの調子が悪いのは自分の責任ではないから謝らなくてよい」という文化なのか、謝ったという事実があると訴訟の時に不利になるとかいう教育をされているのか、そんなところだろうと思って腹は立たなくなった。

年賀状、手書きと印刷

年末に向け、全くもって忙しい。忙しいが、暮れの休みには家族で旅行に行くことになっているので、例年より早く年賀状を出さなければならず、作成作業に追われている。

文面や絵は毎年パソコンソフトで作って印刷するのだが、印刷ばかりというのは味気ないので、必ず肉筆のメッセージを入れるようにしている。手書きで文章を書く機会が減って久しいので、全員に書くのは結構な重労働である。それに、いざ書くとなるとメッセージのネタというのは意外とないものである。私に来る年賀状でも、長いこと会っていない人の中には一言「一度会いたいですね」と書いてくる人がかなり多くて、「確かにそれしか書くことなくなるよなあ」と思わされる。実際一度会いたい人は多いのだが。

表の宛先は印刷にせず、必ず手で書くようにしている。しかし住所を全部書くのは疲れる。そこで1998年の郵便番号7ケタ化に乗じて住所を大幅に省略することにした。7ケタの郵便番号で特定できる部分は書かないようにするのである。例えば「〒150-0035 東京都渋谷区鉢山町9-31-1F (株)はてな御中」だと、実際には150-0035という郵便番号で「東京都渋谷区鉢山町」まで特定されるから、「〒150-0035 9-31-1F (株)はてな御中」とだけ書けば届くはずである。というか、我々に7ケタの番号を書くことを強要している郵便局には届ける義務がある。各郵便番号で住所のどこまで特定されるかは、年賀状を書くパソコンソフトの「郵便番号・住所変換」機能を使えばわかる。たいていの場合、住所のうち書かなければならないのは「数字部分」だけである。田舎の方の住所だと、「1234」というような番地1つだけ書けばよいこともある。

この住所省略、最初に実行する時は不安だったので、年賀状シーズンの前に友人宅にハガキを送ってみてちゃんと届くことを確認した。そしてその年の暮れに出す年賀状で全面移行したら、数十枚送ったうち1枚だけ届かず返ってきた。まだ7ケタ化に慣れていない郵便局があったのかもしれない。以降の年は、正しく書いている限り返ってくることはない。

高校時代の友人の中に、いつも表も裏も印刷だけの年賀状を送ってくる人がいた。ある年私は彼への年賀状に「印刷だけじゃなくて手書きで何か書いてくれよ!」と書いた。入れ違いで来るその年の彼からの年賀状はやっぱり印刷のみだったが、次の年は手書きメッセージを入れてくれた。そして隅に一言「これでいいですか?」と書いてあったのだった。さらに次の年、私は彼への年賀状に「それでええぞ!」と書いた。3年ごしのやりとりだった。

NHK受信料の怪(4) インフラとコンテンツ

テレビ放送を観る手段として、アナログ放送(地上波・衛星)に加えて近年は地上波デジタルやBSデジタルが加わり、さらに電波で受信するだけでなくケーブルテレビ(CATV)でも観ることができるようになった。また番組を流すラインとしてのNHKの放送チャンネルも増えているから、どういう手段でどういうチャンネル/コンテンツを観ることができるのかがよくわからなくなっている。さらにそれらとNHK受信料の関係となると余計にややこしい。

というわけで、NHKのテレビ放送を観るための放送手段(インフラ)と番組内容(チャンネル/コンテンツ)の対応を表にしてみた。

NHKのテレビ放送は5つのラインから成っている。大昔からあるのがNHK総合NHK教育で、これらは従来の地上波アナログで観られる。さらに地上波デジタルが視聴できる地域では、総合・教育それぞれに複数チャンネルを割り当てて同時に複数の番組を観られるようにしている。私の住んでいる大阪では総合・教育それぞれに3つのチャンネルが割り当てられている(現状では同時に3つの番組を放送していることは滅多にないが)。また地上波デジタルはハイビジョン対応であり、ハイビジョンで観られる番組が最近はかなり増えてきた。

衛星放送のアンテナとBSチューナを設置すると、BSアナログのチャンネルBS1,2を観られる。ハイビジョンテレビがあればBS-hi(BSアナログ・BSデジタルの両方あり。BSデジタルには専用チューナーが必要)も観ることができる。BS1,2は衛星アナログ画質(地上波アナログよりはよいがハイビジョンより劣る)である。ただし音声はBモードステレオだとBSデジタルの音声より音質がよい。

NHK放送を中継しているCATVでは、以上のチャンネルを全て観られるようにしていることが多い。そして前回書いた通り、契約した時点ではBS1,2,BS-hiの画面に「NHKでは皆様にBSデジタル設置のご連絡をお願いしています...」という表示が出る。

さて、NHK受信料FAQの「デジタル放送を見るための受信料は?」を見ると、「地上デジタル放送は、カラー契約で、BSデジタル放送は、衛星カラー契約で、ご覧いただけます」とある。したがって、結果としてカラー契約・衛星カラー契約の別は、放送手段(インフラ)によらずどのチャンネルを観られるかで表のように決まっているように見える。つまりBS1,2やBS-hiの番組を観られる場合に衛星カラー契約の受信料を払うという解釈である。CATVの上記表示もその方針で衛星カラー契約の必要性を明らかにするために出しているように見える。

こうして表にしてみると、「NHK受信料の怪(1)」で書いた、地上波アナログとしてBS1,2を観ている場合(図の△)に衛星カラー契約の受信料を払う気にはますますなれない。画質が悪い上にBS-hiを観る手段がないのであるから。

ところがいろいろ調べてみると、そもそもNHKの受信料というのは「どのチャンネルを観られるか」で決まるのではないのである。

(つづく)

藤圭子はすごかった

新宿の女

新宿の女

今は宇多田ヒカルの母として有名な藤圭子。昔、「圭子の夢は夜開く」の頃の彼女に関する評論を読んだことがある。「藤圭子の歌にはすさまじい怨念を感じる。しかしこれは今だけのきらめきで、すぐにあせてしまうであろう。それが残念でならない」というような内容だった。

オリコンのいろんな記録を見ていて知ったのだが、彼女はすごい記録を残している。

[シングルチャート(1968年〜)同一アーティスト連続1位記録]

  1. 藤圭子 18週(女のブルース[8] + 圭子の夢は夜ひらく[10]) 1970年
  2. ピンク・レディー 17週(渚のシンドバッド[5] + ウォンテッド[12]) 1977年
  3. 宮史郎とぴんからトリオ 16週(女のみち) 1972年

[アルバムチャート(1970年〜)同一アーティスト連続1位記録]

  1. 藤圭子 37週(新宿の女/”演歌の星”藤圭子のすべて[20] + 女のブルース[17]) 1970年
  2. カーペンターズ 18週 (ゴールデン・プライズ第2集) 1974年
  3. エルビス・プレスリー 16週 (この胸のときめきを) 1971年

1970年の藤圭子はすごかったようだ。「すさまじい怨念」を歌っていた時期だろう。アルバムの方では上記2枚に続いて「演歌の競演/清と圭子」(クールファイブ・藤圭子)が4週連続1位になっているから、それも入れると41週連続である。またアーティストではなくアルバムごとのランキングにすると1位と3位になる。ちなみに、連続でなく通算でのアルバム1位獲得週だと、井上陽水「氷の世界」の34週がトップ、藤圭子「新宿の女/...」は歴代2位。

といっても、枚数でいうと今と比べれば大したことはない。昔はシングル至上の時代で、藤圭子の一番売れたアルバム「新宿の女/...」でも約30万枚である。対して歴代アルバム売上枚数1位は藤圭子の娘・宇多田ヒカルの「First Love」で、実に765万枚。なんせ初動(発売1週目の売上げ)が約200万枚である。その代わり今はランキングの入れ替わりが激しく、ドーンと売れてすぐにランクが下がる。「First Love」は通算6週しか1位になっていない。連続20週1位なんていうアルバムはもう出ないだろう。時代が文字通り一世代違うのである。

2013-08-23追記

謹んで藤圭子さんの御冥福をお祈りいたします。

NHK受信料の怪(3) 誘導

CATVの画面に出る「NHKでは皆様にBSデジタル設置のご連絡をお願いしています...」の表示を消してもらったあと、何日かしてNHKから電話がかかってきた。「公平な受信料負担のため、衛星カラー契約について御検討いただけないでしょうか」。きたきた。やっぱりCATVでBSのチャンネルを観るためには衛星放送用の受信料を払わないといけないのか。

受信料を多く払ってまでCATVでBSの番組を観たいとは思わなかったので、「じゃあBSの番組は観ませんから、またあの表示を出してください」と言うと、「表示を戻すということは行っておりません」。「じゃあどうすればいいんですか」「表示は消したままで結構ですが、公平な受信料負担のため、衛星カラー契約について前向きに御検討いただければと」「いや、観ないんですから余計な受信料は払いませんよ」「ですから、公平な受信料負担のために前向きに御検討いただければ結構です」。会話の内容は正確ではないが、だいたいこんな感じだった。「『前向きに検討』を依頼したことにして電話を切りたい」という態度がありありで、結局表示は復活させず、さりとてこちらは衛星カラー契約にするとも言わないまま終わった。

全く腑に落ちない。こちらにもCATVとNHK受信料の関係についてきちんとした知識がなかったのは事実だが、画面に出ていた表示には「ご住所、お名前、B-CASカード番号などをお伝え頂ければ、この表示は消えます」とあるだけで、それで受信料がどうなるかについては一切言及がなかった。そして電話すると二つ返事で表示を消したあと衛星カラー契約を要求し、契約しないと言っても元に戻さない。結局、なんかこっちが悪いことをしているように思わされる状況に誘導された感じがして気分が悪い。

今でも例の表示は消えたままなのでCATVでBS1,2とBS-hiを観ることができるが、結局ほとんど観ていない。CATVだとコピーワンスのためHDDレコーダに録画したものを消さずにDVDにダビングして出張時などに観るというようなことができず不便なので、BS-1,2は地上波アンテナから来るのを観て(録画して)いるし、BS-hiには観たい番組があまりないからである。もちろん受信料はカラー契約分しか払っていない。

(つづく)

NHK受信料の怪(2) CATV画面の表示

何年か前、我が家にもケーブルテレビ(CATV)が入った。CATVにはNHK衛星放送のチャンネルが3つある。BS1,2とBS-hi(ハイビジョン)である。ただしCATVに加入した時点では、これらのチャンネルに合わせると放映画面の上に以下のような表示が出る(一応電話番号は伏せておく)。

NHKでは皆様にBSデジタル設置のご連
絡をお願いしています フリーダイヤル
0120−XXXXXXに ご住所、
お名前、B−CASカード番号などを
お伝え頂ければ、この表示は消えます

音声はそのままで、画像にこれが小さく重なってくるだけなので、そのままでも観られないことはないが、ちゃんと視聴したかったらやはり消してほしくなる。ただうちでは前回書いたように地上波アナログのチャンネルでBS1,2の放送が観られるし、テレビがハイビジョン対応でなかったのでBS-hiはどちらにせよ観られず、しばらくはそのままにしていた。

昨年ハイビジョンテレビを買ったのを機に、上記の表示を消してもらおうとふと思い立った。ただこの時はNHK受信料との関係を理解していず、CATVの料金を払っていれば特に負担増なしに表示を消してもらえるのかなと思っていた。だいたいこの表示では受信料との関係がよくわからない。とりあえずフリーダイヤルに電話。

住所と氏名を聞かれ(電話番号も言ったかも)、CATVの制御機器(セットトップボックス)に刺してあるB-CASカードに記載してある番号を言うと、「今から表示を消させていただきます」。あら不思議、その場で上記の表示は消えてしまった。さすがはデジタル放送。

向こうはそれで電話を切ろうとするので、最後に「これで受信料が増えるということはないですよね?」と聞くと、「この操作をしたからといって請求するということはありませんが、受信料については別のところから後日御連絡させていただきます」というよくわからない返事だった。

こりゃ受信料増を要求されるのかなと思っていると、はたして何日か後、別のところから電話がかかってきた。

(つづく)

NHK受信料の怪(1) 共同アンテナでBS

数々の不祥事でNHK受信料を払わないという人が増えているが(参考: NHKの不祥事 - Wikipedia)、私はNHKの受信料について何回か腑に落ちない思いをしている。

受信料のご案内」にある通り、NHK受信料には実質「カラー契約」と「衛星カラー契約」の2種類がある(受信規約上は白黒テレビを対象とした「普通契約」「衛星普通契約」や、地上波の受信が困難で衛星放送だけ受信するケースを対象とする「特別契約」というのもあるが、マイナーだと思うのでここでは省く。これらは上記「受信料のご案内」にも記載されていない)。「衛星カラー契約」というのはその名の通り、衛星放送(BS)を観るために必要な契約で、地上波だけの「カラー契約」より1ヶ月あたり945円高い(2ヶ月払いの場合)。

私の家は集合マンションにあり、地上波のテレビ放送は共同アンテナから配信されているが、その中にNHKBS1,2の放送も入っている。つまりBS1,2の放送を地上波のチャンネルで観ることができる。この場合NHKの受信料はどうなるかというと、マンションの管理組合からの説明は「BSのアンテナを立てていないなら通常のカラー契約の受信料でよい」とのことだった。ただし「BS放送は観ていないと主張すれば」というニュアンス。

今ひとつすっきりしないところである。放送法第32条に「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は,協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。」(協会というのは日本放送協会つまりNHKのこと)とあるから、BSアンテナを立てていなくても衛星放送の番組を観られるからには「衛星カラー契約」の受信料を払わねばならないという理屈が成り立つかもしれない。

しかし番組はBSでも画質は地上波アナログと同等である。これが「受信規約」にある「衛星系によるテレビジョン放送の受信」にあたるのかどうか。BSアンテナを立てて高画質で観ている場合(実際画質はかなり違うし、Bモード音声だと音質にも差があるはず)と同じ受信料を払わされるのは納得できないところがある。また、地上波を観るための共同アンテナにつないでいるだけで「BS放送を観るという選択をした」と見なされるのは酷である。このあたりの事情を勘案して、暗黙のうちに「カラー契約でよい」ということになっているのではないかと推測している。しかしどうもどっちつかずで腑に落ちない。

ただし私の家では当初WOWOWを観たかったのでそのためだけにBSアンテナを設置し、付随的にNHKの衛星放送もBS画質で観られるようになった。しばらくするとアンテナを目ざとく見つけたNHKの訪問員が来訪。「衛星カラー契約」の受信料を払うことになった。

何年か後、住んでいる棟の大規模修繕工事が始まり、ベランダに設置したものは撤去しないといけなくなったため、BSアンテナも取り外した。その機会にWOWOWを解約、NHK-BSもBSアンテナでは観られなくなったので受信料は「カラー契約」に変更してもらった。共同アンテナからの地上波画質の衛星放送は引き続き観ていたが。

さて、NHKの衛星放送を観る方法は、上に書いた「共同アンテナから来る地上波アナログ画質のBS放送を観る」「BSアンテナを設置してBS画質で観る」以外にもう1つある。「ケーブルテレビ(CATV)で配信されるNHK-BSのチャンネルをCATV画質で観る」という方法である。ある日我が家にもCATVが設置されることになった。これによってNHK受信料についてもう1つ腑に落ちないことを経験するのである。

(つづく)

ENDLESS STORY(REIRA starring YUNA ITO)

ENDLESS STORY

ENDLESS STORY

いつも昔の音楽のことばかり書いているので、たまには新しい曲の話も。

CATVのスペースシャワーTVで、ヒットチャートの50位から1位までのミュージックビデオ(以下MV)を5時間かけて放送する「SUPER HITS 50」という番組がある。毎週録画して、家でPCに向かっている時にBGM代わりに流している。そこで流れてくる曲で最近気に入っているのがこの「ENDLESS STORY」。曲もいい(そのせいか、発売から2ヶ月経った11/12のチャートでまだ8位にとどまっている)が、それより何よりMVがカッコいい。

その昔MVが一般的になり始めたころ、私は「ミュージックビデオは、歌ったり演奏したりしているところを撮ったものでないとつまらない」とカタイことを言っていた。当時は特に、変に工夫しようとして歌と全然関係のない物語仕立てにしてつまらなくなったMVが多かった気がする。映像が入っても音楽は音楽として観たいので、今でも基本的にはライブ仕立てのMVが好きである。

ENDLESS STORY」のMVもライブ。この歌は今をときめく映画「NANA」の劇中歌で、映画の中のライブシーンが中心である。ボーカルは新人の伊藤由奈。この人、歌もルックスもいいが、加えてこのライブでは衣装からしぐさから全て崇高な感じでバッチリ決まっている。すごい存在感である。雲と太陽の光をバックに歌う別シーンがライブシーンと交互に映るのだが、同じ人とは思えないぐらい、ライブシーンの方が断然いい。

そしてライブのカメラワークが普通のMVとは明らかに違う。カメラテクニックのことはよくわからないし、どこがどう違うと具体的に言うこともできないが、映画の1シーンだけあって文字通りストーリーが感じられるのである。おかげで、「ながら作業」のために再生しているのにこの曲になると思わず見入ってしまう。「NANA」の主題歌「GLAMOROUS SKY」(NANA starring MIKA NAKASHIMA)の方もカッコいいしな。映画やコミックも観て・読んでみたくなってきた。

M'シンドローム (本田美奈子)

M’シンドローム(紙ジャケット仕様)

M’シンドローム(紙ジャケット仕様)

1985年のデビューアルバム。当時、他のアイドルに比べて歌がうまいのでちょっと注目していた。今の人に無理やり例えるなら松浦亜弥のようなポジションか(かなり無理やりだが)。「TEMPTATION(誘惑)」という曲が気に入ったので、試しにこのアルバムを貸しレコード屋で借りてきて聴いていたら結構はまってしまった。アイドルのアルバムとあなどってはいけない。「TEMPTATION(誘惑)」はもちろん、バラードの名曲「HARD TO SAY "I LOVE YOU"」も入っている。「DOUBT」も好きだった。現在廃盤になっているのが残念である。

当時テレビで放映されたライブを見た。ポップな歌が多くて衣装も大胆な割には「好きと言いなさい」のようなアイドル風の曲(しかしこの曲もかなりいい)もあって、MCでは満面のアイドルスマイルで「みんなありがとう!」。ギャップが印象的だった。そのあと「1986年のマリリン」がヒットする。

それからずっとちゃんと聴いていなかったが、徐々にアイドルを卒業し、本格派シンガーとして活躍しているようだった。ミュージカルに力を入れ、クラシックの曲なども歌ったりしてがんばってるなと思っていたのだが、今年急性骨髄白血病で突然の入院、そして...。あまりにも早い死である。合掌。

蛍の二つ三つ

ゆきえさんのブログでイギリス人に日本語の助詞を教える話「nihongo」を読んで、高校の国語の時間のことを思い出した。

先生がおもむろに黒板に

米洗う 前(    )蛍の 二つ三つ

と書いた。カッコの中に助詞を入れよという問題である。

「に」と誰かが言った。「米洗う 前に蛍の 二つ三つ」。「もっといいのないか?」と先生。「で」というのも出た。「へ」という声に「ほほう、『前へ蛍の』ね。蛍が前へ飛んでくるという動きが出ている。でももっといいのがある」。

正解はこれ。

米洗う 前蛍の 二つ三つ

蛍の飛び回る動きがよく表現されている。作者不詳の有名な俳句らしい。

我々はこれら「に」「で」「へ」「を」の違いをなんとなく理解できるが、じゃあどういう違いかと言われると説明するのは難しい。

まず正解の「を」。日本語を文法から学ぶなら、「を」はまず「ボールを投げる」のように目的語につく助詞として覚えると思う。対して上の俳句は「米を洗う人の前を蛍が二匹三匹飛び回る」ということだが、「前」が「飛び回る」の目的語とは言いがたい。「空を飛ぶ」の「空」も同じである。「ボールを...」とは違う用法だろう。

「を」単独の意味や働きをきちんと説明するだけでも難しいが、それを「に」「で」「へ」などと比較するとなるとさらにややこしいことになる。これらの助詞を上の俳句に当てはめた場合、全て違う意味・ニュアンスを持ってくる。蛍の動作からして違うのである。それを外国人に教えるのは至難の技だという気がする。

もちろんこんなことは日本語だけにあることではなくて、他の言語にもややこしくてデリケートな問題は必ずあるはずである。例えば英語の前置詞・助動詞・冠詞の使い方にはいつも悩まされるが、我々は使い分けをちゃんと理解していないだけでなく、そういうややこしい話がどのくらいたくさんあるのかも理解できていない。道のりは長いのである。