年賀状、手書きと印刷

年末に向け、全くもって忙しい。忙しいが、暮れの休みには家族で旅行に行くことになっているので、例年より早く年賀状を出さなければならず、作成作業に追われている。

文面や絵は毎年パソコンソフトで作って印刷するのだが、印刷ばかりというのは味気ないので、必ず肉筆のメッセージを入れるようにしている。手書きで文章を書く機会が減って久しいので、全員に書くのは結構な重労働である。それに、いざ書くとなるとメッセージのネタというのは意外とないものである。私に来る年賀状でも、長いこと会っていない人の中には一言「一度会いたいですね」と書いてくる人がかなり多くて、「確かにそれしか書くことなくなるよなあ」と思わされる。実際一度会いたい人は多いのだが。

表の宛先は印刷にせず、必ず手で書くようにしている。しかし住所を全部書くのは疲れる。そこで1998年の郵便番号7ケタ化に乗じて住所を大幅に省略することにした。7ケタの郵便番号で特定できる部分は書かないようにするのである。例えば「〒150-0035 東京都渋谷区鉢山町9-31-1F (株)はてな御中」だと、実際には150-0035という郵便番号で「東京都渋谷区鉢山町」まで特定されるから、「〒150-0035 9-31-1F (株)はてな御中」とだけ書けば届くはずである。というか、我々に7ケタの番号を書くことを強要している郵便局には届ける義務がある。各郵便番号で住所のどこまで特定されるかは、年賀状を書くパソコンソフトの「郵便番号・住所変換」機能を使えばわかる。たいていの場合、住所のうち書かなければならないのは「数字部分」だけである。田舎の方の住所だと、「1234」というような番地1つだけ書けばよいこともある。

この住所省略、最初に実行する時は不安だったので、年賀状シーズンの前に友人宅にハガキを送ってみてちゃんと届くことを確認した。そしてその年の暮れに出す年賀状で全面移行したら、数十枚送ったうち1枚だけ届かず返ってきた。まだ7ケタ化に慣れていない郵便局があったのかもしれない。以降の年は、正しく書いている限り返ってくることはない。

高校時代の友人の中に、いつも表も裏も印刷だけの年賀状を送ってくる人がいた。ある年私は彼への年賀状に「印刷だけじゃなくて手書きで何か書いてくれよ!」と書いた。入れ違いで来るその年の彼からの年賀状はやっぱり印刷のみだったが、次の年は手書きメッセージを入れてくれた。そして隅に一言「これでいいですか?」と書いてあったのだった。さらに次の年、私は彼への年賀状に「それでええぞ!」と書いた。3年ごしのやりとりだった。