20 YEARS WITH BLUEGRASS MUSIC (NAKASHIMA FAMILY BAND)

中島ファミリーバンドを初めて見たのは、1989年夏の宝塚ブルーグラスフェスティバルだった。土曜の夜、仲間とステージを観ていると、まわりがなんとなくそわそわしている。プログラムを見ながら「もうすぐ中島ファミリーバンドだ」とか言っている。聞けばその名の通り家族のバンドで、福岡の中学生・小学生の姉妹なのだがムチャクチャにうまいという。その前年に宝塚夏フェスでの鮮烈デビューをしていたそうなのだが、私は参加していなかった。大学時代から今まで、宝塚夏フェスに行かなかったのはこの1988年だけ。不覚。

みんなの言う通り、中島ファミリーバンドのステージは本当に鮮烈だった。四姉妹(バンジョーフィドルマンドリン、ギター)が4人ともバリバリに弾く。感動したしショックも受けた。それ以来、参加したフェスに彼女たちが出る時は必ずステージを観に行くようにしていた。

"20 YEARS WITH BLUEGRASS MUSIC"は中島ファミリーバンド3枚目のアルバム。すばらしいアルバムである。買ってから何度も聴いている。

インストと歌が半々ぐらいの構成。6曲のインストは全てオリジナルである。いずれもカッコよくて、作った人の好みがよく出ている感じがする。特にフィドルチューンの組曲"IN FUSION"は圧巻。アジアンテイストやアイリッシュ風の曲が組み合わさってとても気持ちよく聴ける。

そして豪華ゲストとの共演。スチュアート・ダンカン、サム・ブッシュ、デビッド・グリア、アリソン・ブラウンなどのトッププロが参加している。すごいというかうらやましいというか。特に私としては"CAN'T YOU HEAR ME CALLING"でサム・ブッシュと共演しているのがうらやましい。マンドリンの絵美さんは昔から結構ブルージーなというかドーグっぽいというかシュールな(?)ソロを弾く印象があるのだが、この曲でもそれがよく出ていて、サムとの掛け合いもキマっている。ただ、サムのファンとしてカラく見ると、この曲での彼のプレイはちょっと雑か? 彼はキーがAの時に雑なソロを弾くことが時々あるように思うのだが、それが少し出てしまっているような気がする。

このアルバムで最も気に入っているのは"I WANT TO BE A COWBOY'S SWEETHEART"。宝塚フェスでもやっているのを聴いた記憶があるのだが、やり慣れている曲のせいか、美砂さんのボーカルは気合が入っていて、バンドとしても盛り上がっているので楽しい。加えてライナーノーツでアリソン・ブラウンも書いている通り、最後のツインフィドルは必聴である(ところで、CDに入っている写真のスチュアート・ダンカン、おじさんになったなあ... プレイは相変わらずすごいけど)。

タイトル通り、ブルーグラスを始めてもう20年になるとのことである。私が最初に観てからでも17年経っている。また生で演奏を聴かせてもらう機会があるといいのだが。