禁煙タクシー

先日、大阪駅からタクシーに乗ろうとしたら、「禁煙ですけどよろしいですか」と聞かれた。「いいですよ」と言って乗ったのだが、禁煙のタクシーというのは確か初めて。車内にいくつか「禁煙」のシールが貼ってある。あとで降りてから見たら、車体の外側にもあちこちにでかでかと貼ってあった。

タバコの害が叫ばれ、吸える場所や場面が制限されだしてから久しい。私は10年ほど前までは喫煙者だったので、基本的にはもっともなことだと思いながらも嫌煙家の主張にヒステリックなものも感じていたのだが、最近は愛煙家が肩身の狭い思いをするのがすっかり普通のこととして定着した感がある。自分がタバコをやめて久しいからそう思うだけかもしれないが。職場でも私が入社した頃は自分の席で吸えたが、今ではそんなことは考えられない。

そんな中、タクシー業界はどういうことになっているのか興味を持っていた。狭い車内で客が吸うと、次の客が乗ってきた時にもまだ煙やにおいは残っているはず。気になる人には気になるんじゃないだろうか。それに運転手にもタバコの煙の苦手な人はいるだろう。

というわけで、禁煙タクシーにたまたま乗ったのを幸い、家に着くまでの間いろいろ聞いてみた。運転手さん曰く、

  • 禁煙タクシーとして営業するには認可が必要。大阪(大阪市ということだと思う)のタクシー23000台のうち禁煙タクシーは108台だけ。東京ではもっと割合が多い。
  • 乗る人ごとに「禁煙ですけどよろしいですか」と確認している。日に3人ぐらいは断られる。逆に喜んで乗る人もいる。
  • 営業としてトータルで得か損かはよくわからない。同じようなものではないか。
  • 禁煙でないタクシーにもタバコの煙の苦手な運転手はもちろんいるが、お客さんが吸えばガマンしている。

認可が要るとは知らなかった。トラブル対策かもしれない。大阪ではだいたい200台に1台が禁煙タクシーということになる。もうかり具合に差がないのなら、煙の苦手な運転手さんは禁煙タクシーの申請をする手もあるかもしれない。客ごとに「よろしいですか」と確認する手間はかかるが。

他のことも教えてくれた。

  • 駅などの客待ちでは近距離のラインに並ぶようにしている。長距離の客はワルばかり。
  • 長距離だと客を降ろしたあと帰ってくるロスがあるので、長距離がトータルで得とは限らない。
  • ただし長距離をやっていると、何度も乗せたり降ろしたりする近距離が面倒になるらしく、長距離の人は長距離ばかりやっている。
  • JRの駅の客待ちに並ぶには「入庫料」が必要。年4000円程度。払っている車はシールを貼る。実際には貼っていない車も並んでいて腹が立つ。

長距離だと、禁煙タクシーにしていることは営業としてマイナスになりそうな気がする。普通のタクシーに乗ろうとしてタバコのにおいがするからやめる人と、「禁煙ですが」と言われて自分が吸えないからやめる人とでは後者の方が多そうである。長距離ではそのあたりがより響くかもしれない。というわけで、禁煙の認可をもらっていることと近距離専門で営業していることはうまく整合しているのかも、と思ったのだった。

禁煙タクシーについて検索してみたら以下のページがあった。

やはり嫌煙権運動の文脈ではタクシーは注目されているのかもしれない。