How to Grow a Woman from the Ground (Chris Thile)

How to Grow a Woman From the Ground

How to Grow a Woman From the Ground

天才クリス・シーリが若手ミュージシャンたちと作ったストレートブルーグラスのアルバム。昨年9月の発売時にすぐ買って聴いていたのだが、そのころはピンとこなかった。みんなうまいけどアルバムとしてはなんかフツーだなと思っていた。

ところが、最近The Grasscastというポッドキャストでのインタビューを聴いて彼のコメントを頭に入れてから聴いてみると、これはスゴいアルバムである。うまいだけではなくバンドとしてのノリが尋常ではない。なぜ自分の評価がこんなに変わるのかよくわからないのだが、そのアルバムや曲の話をよそで聞いて「気持ちの入口」ができた後だと印象が大きく変わってくるということは時々ある。

スタジオライブ仕立てのアルバム(マイク2本を立てて一発録音)であることもいささか影響しているかもしれない。買ったころは主にスピーカーで聴いていたので、各自に1本ずつマイクを使ってミキシングした録音に比べてインパクトが弱いように思っていたのだが、ヘッドフォンで聴いてみるとチームワークがビシバシ伝わってきて臨場感満点である。

1曲目のインスト"Watch 'At Breakdown"は最初に聴いた時からインパクトがあった。上記インタビューによると、クリスはベラ・フレックの"Whitewater"("Drive"収録)が最強の「アルバム1曲目」だと思っているらしく、"Watch 'At Breakdown"はそれへのトリビュートだという。

それと"Brakeman's Blues"。ブルース進行のブルーグラスの曲はいくつも聴いているのだが、なぜこうも高揚できるのだろう。最初聴いた時は「おお、クリスも『レイホー』やるのか」と思っただけだったのに。