SKAGGS & RICE (Ricky Skaggs and Tony Rice)

Skaggs & Rice

Skaggs & Rice

ブルーグラスの楽器のうち2つだけを使って演奏するとしたら何を選ぶか。インストゥルメンタルならフィドル&バンジョーという絶妙の組み合わせがある。きれいな音が伸びるフィドルと、やかましい音がずっと鳴っている(?)バンジョー。この2つを最初に組み合わせた人はえらい。フラット&スクラッグスの「AT CARNEGIE HALL!」で"Fiddle and Banjo"と称して"Stony Point"をやっているが、MC(曲の間のしゃべり)でレスター・フラットが「ずっと昔、フィドルバンジョーだけでバンドと呼ばれていたころがあった」と言っている。かなり古くからある演奏スタイルなのだろう。

そして歌入りで2つの楽器を使うならマンドリンとギターである。古くはブルーグラス誕生前夜のモンロー・ブラザーズだが、スタイルとしてはもっとずっと昔からあったんだろうな。

「Skaggs & Rice」は1980年、カントリーに移る直前のリッキー・スキャッグストニー・ライスと作った、マンドリンとギターとボーカルだけで構成されたアルバムである。当初は日本盤も出ていて「COMBINATION」というタイトルがついていた。そのころから好きなアルバムだったが、最近年のせいかこういうシンプルできれいな音が無性に聴きたくなることが多く、よくかけている。

歌も演奏も、聴けば聴くほど美しい。さすがニュー・サウスなどで長年一緒にやっていた2人だけあって、ぴったり息が合っている。特に1曲目の"Bury Me Beneath The Weeping Willow"はキマッてるし、実際人気が高いらしい。5曲目"Where The Soul Of Man Never Dies"も聴かせるなあ。7曲目"Will The Roses Bloom"を入れているあたりは定番を押さえてるという感じがするし。

昔マール・ワトソン・メモリアル・フェスティバル(現在のマールフェスト)に行った時、オールスタージャムの中でリッキーとトニーがこのアルバムの中の"There's More Pretty Girls Than One"をサラリとやってくれて感激した。その時のMCでリッキーが「昔2人で"Skaggs & Rice"というアルバムを出したんだ。中華料理の注文じゃないよ」とジョークをとばしていたのを思い出す。

学生時代に4人とか5人でバンドを組んでいた時にはあまり思わなかったが、いつか誰かとマンドリンとギターのデュオバンドを組みたいなと思っている。宝塚フェスの日曜の朝に出してもらうぐらいの感じで。楽しそうである。今からモンロー・ブラザーズなんかも聴いて勉強しておくか。それに2人でやるのはマンドリンのよい訓練になりそうな気がする。難しいことを弾く必要はないが、ソロもリズムもしっかりしていないと全体がガタガタになってしまうからである。