将棋世界10月号

もう11月号が出ようかという時期になってしまったのでいささか時機を逸した感があるが、将棋世界10月号について。

これだけの目玉記事があるのに、表紙写真と大見出しは「丸田祐三九段、陣屋事件を語る」。陣屋事件というのは昭和27年の出来事である。売り上げを少しでも伸ばしたいのなら、どうして米長会長とホリエモンの対談を表紙で大きく扱わないのか。10月号の発売は衆議院選挙の8日前だったから、インパクトは大きかったはず。「公職選挙法がらみで表紙に載せられなかったのでは」という声もあったが、記事にできるのに表紙に載せられないということがあるんだろうか。

この対談記事でなくても、将棋界で今一番ホットな話題である瀬川アマのプロ編入試験(先月号ででかでかと採り上げたが、1勝目をあげたから再度大きく載せてもいいのでは?)や佐藤棋聖の防衛(対羽生17番勝負前半戦のレビューもあることだし)でも陣屋事件よりははるかに表紙で扱う価値が大きいと思うのだが。

...とえらそうに書いているが、10月号を書店で買った時には表紙を見て特に疑問は感じなかった。ブログ「「将棋ビジネス」考察ノート」の「???の『将棋世界10月号』」を読んで、「なるほど、確かにけしからん!」と初めて問題意識を持ったのである。毎月買うと決めているとはいえ、自分の問題意識はこんなもんかと少しなさけなくなった。

もう1つ、10月号の「詰将棋サロン」で印刷ミスによる不詰(絶対詰まない図を掲載)があった。これについては将棋世界誌を発行している将棋連盟のHPにすぐに告知が出ていた。こういう告知手段を利用するのはいいことだと思う。「HPは見られない人もいるから不公平だ」というのはいわゆる「悪平等」。できるだけいろんな方法でアナウンスして、きちんと詫びるべきである。「余詰に罪なし、不詰に罪あり」とも言うし(それにしてもうまい格言ですなあ)。

と強く思うのは、これで雑誌の講読をやめたことがあるからである。昔は将棋世界誌だけでなく近代将棋誌も購読していたが、近代将棋2003年10月号の「悲しみの回廊」という詰将棋に誤植による不詰があった時の同誌の対応がひどかった。同誌HPの掲示板では居直り、紙上でもきちんと謝罪しなかった。

私自身は詰将棋を解くのが苦手なので、2ケタ以上の手数のものは自力で解こうとせずに最初から答を鑑賞することにしている。だから自分が実害を受けたわけではなかったが、詰まない詰将棋をさんざん考えた読者と誤った図面を載せられた作者のことを考えればもう少し誠意ある対応ができそうなもの。結局それ以後は近代将棋を買うのをやめてしまった。

いろいろあるけど、読者のことを考えた雑誌づくりをお願いしたいものである。そうでないと読者はどんどん減っていってしまう。